公開講座 「胡麻油」の和食力⑵

胡麻油で花開く、新「焼き」料理

炭火で焼く料理を得意としている荻野聡士さんに教わる、 上質な胡麻油が味の決め手となる焼き物3品。

教える人・荻野聡士「赤坂おぎ乃」主人
撮影・大山裕平

公開講座第2回の講師は、荻野聡士さん。1987年、東京生まれ。「嵐山吉兆」で8年、「銀座小十」で5年、そして「銀座奥田」で料理長を2年半務め、2020年3月に「赤坂おぎ乃」を開店。1年以上先まで予約が取れない人気店を率いる、日本料理界の若手の旗手だ。

太白胡麻油による“油焼き”が
焼き魚を美味しくする

料理は夏の焼き魚「すずきの油焼き ねぎ塩だれ」である。
「日本料理においては魚を美味しく焼くことが一番難しい。それを解決する手法が“油焼き”です」と荻野聡士さん。すずき、はた、くえなどの白身魚に特に効果的だという。焼き魚を非日常の味と香りに昇華させる、マルホン太白胡麻油による“油焼き”を解説していただいた。

油焼きは、油による素材の保湿効果を利用した調理法だ。
具体的には、180℃に熱した太白胡麻油を、すずきにまわしかけてから炭火で焼く。油で素材をコーティングすることにより、素材の水分を保つことができるので、パサつかず、しっとりと焼き上げることができる。フライパンでも焼けるが、炭火を使うと油が炭に落ち、燻香を魚に纏わせることができるので、より風味がよくなる。
太白胡麻油を使う理由は、「食べたときに油を感じさせずに旨みと香りを加えられるから。ほかの油だとベタついてしまう」と荻野聡士さん。もう一つは、太白胡麻油が高温に強いこと。油が低温だと、魚に油が付きすぎてしまうことを避けられるのだ。
ねぎ塩だれは、中国料理にヒントを得た“ねぎ油”に、茗荷、柚子の皮、しその花を加えた夏の和風たれ。鰹の刺身にも使っているというものだ。
「ねぎ油にも太白胡麻油が絶対です」と荻野聡士さん。理由は、油を感じさせずに、きれいな旨みをのせられるから。
淡白で繊細な魚を、その風味を生かしながら、より美味しくする。この決め手がマルホン太白胡麻油だ。

鴨の血の味には、太香胡麻油が調和する

料理は「鴨の太香胡麻油焼き 九条葱あん」である。
「マルホン太香胡麻油は、上品で穏やかな胡麻の風味なので日本料理に合います。やわらかくてふわっとした胡麻の余韻が好きです」と荻野聡士さん。とくに、鴨のむね肉を焼く際には欠かせないという。

鴨の太香胡麻油焼きの美味しさのポイントは、太香胡麻油を使うことで鴨をより風味良く焼き上げることにある。調理手順は、まず皮目をしっかりと焼く。その間に鴨の身に満遍なく太香胡麻油を塗る。そして返して身をさっと炙る。これを繰り返しながら焼いていく。
「鴨の身に油を塗って焼くと、熱が素材にダイレクトに当たらないようにできます。さらに油の力によって熱伝導が良くなるので、肉の水分を保ちながらしっとりと焼くことができます」と荻野さん。太香胡麻油を使うことで、風味も食感もよくなるのだ。
九条葱あんは、濃口醤油を使ったべっ甲あんに、鴨と相性のいい九条葱を太香胡麻油で炒めて加えたもの。太香胡麻油の香り、炭の燻香、ねぎの風味が、鴨の美味しさを究めるのである。

上質な油が味の決め手。きのこと白菜の燻香ごはん

「きのこと白菜の燻香ごはん」の具材は、きのこと白菜だけ。にもかかわらず、旨味、食感、香りで大満足の〆ごはんである。きのこと白菜を、太白胡麻油を使って炭火で焼き上げるのが美味しさのポイントだ。

料理の旨味は、きのこが担う。しめじ、えのきなどを塊のまま、たっぷりの太白胡麻油を纏わせてから網を使い炭火で焼く。炭に油を落として立ち上る煙をきのこに纏わせて燻香をつけるのだ。きのこが乾かないように途中にも太白胡麻油を塗りながらじっくりと焼き上げる。すると「きのこの味に厚みが出て、炭の香りをつけることでボリューミーな、ご飯の主役素材になります」と荻野聡士さん。

食感は白菜がつくる。刻んだ白菜をたっぷりの太白胡麻油でサッと炒める。油で素材の表面の温度を一気に上げて、シャキッとした食感を出す。さらに上の画像のように、油ごとザルに入れて炭火で炙る。きのこと同様に、炭に油を落として立ち上る煙を白菜に纏わせて燻香をつけるのだ。昆布出汁で炊き上げたご飯に、きのこと白菜を太白胡麻油ごと混ぜる。
「上手に油を使うことで、魚や肉に頼らなくても十二分に美味しい精進のごはんができます」。これを可能にするのがマルホン太白胡麻油なのだ。
以上3品。上質な胡麻油なしではできない、新世代の日本料理である。